対照的な2つの直売所

翌日の産学官ワークショップに向けて,数名の学生たちと大村市の直売所と漁協を訪問しました。午前中に訪問した2つの直売所は,元の成り立ちは同様のようなのですが,結果的に全く違うものになっているのが印象的でした。

先に訪問した『かやぜ』は,高速道路のインターチェンジ近くにある交通の便の比較的良いところで,駐車場は限られているので頻繁に車が出入りします。JAが運営している典型的な農産物直売所ですが,『〇〇届きました〜!』といったスタッフさんの声掛けが盛んで,私たちが色々買ったらわざわざご挨拶とおしゃべりをしに店外まで来てくださいました。買いたくなる品揃えとアトホームな接客が持ち味のお店です。

当初水産物の棚は閑散としていたのですが,『お魚入荷しました〜!』の声と共に,カサゴ,メジナ,サワラ,ササノハベラ,シログチなど庶民的な沿岸魚が並びました。よく見ると近くの大村湾の魚ではなく,橘湾中央漁協がトラックで運んで来るようです。上写真の調理済みマダイのおろしかたは独特で,半身は頭つきで残したまま半身だけ取り出してフィレにして皮を剥いで戻した『スケルトン仕様?』でした。

ササノハベラを手にしていた主婦の方にウチの学生が気安く声をかけ,『このシログチの切り身をキノコと一緒にホイル焼きにしたら絶対美味しいですよ。簡単です。』とオススメしたら,素直に買ってくださいました。やはり鮮魚販売では対面声掛けが強力な武器であることを確認しました。

一方の『シュシュ』は,かやぜから10分ほど山道を登って行ったところにあります。駐車場は広大で車を止めやすく,直売所内にはショーケースに綺麗なケーキが並ぶ洋菓子工房もあります。農産物を直接販売するコーナーよりも,ジュースやジャムなどの加工品(6次産品)を売るスペースが広くとられた店内は,とても明るくクリーンで,こちらも平日の午前なのにお客さんが沢山いらっしゃいました。鮮魚はごくわずかしかありませんが,午後訪問した大村市漁協の組合長さんはこちらへ出品されているそうです。

さらにシュシュには,ベーカリー,バイキングレストラン,いちご狩りファームがそれぞれ別の建物として配置されています。敷地は広大で周りに他の施設はなく,家族で週末を過ごす目的地としての集客力を備え,国内の直売所グランプリで内閣総理大臣賞を受賞したこともあるようです。当初は数名の農家さんから始まった直売所だったようですが,どのような経緯でここまで拡大できたのか,現在の利益はどのように形成されどの程度生産者さんに還元されているのか,さらに興味が沸きました。