朝獲れカマスのブランド化

長崎市の伊王島が自称『カマス島』へと改名して朝獲れカマスをブランド化することを広報するために,10月9日に豊漁祭が開催されました。魚料理研究会と一緒に私もカマスの美味しさを広めるお手伝いをしています。伊王島近海のカマスは夜明け前から刺網を仕掛け,朝日とともに漁獲されるので『日の出カマス』と名付けられました。しかし,朝水揚げした魚を魚市場へ持って行っても,セリにかけられるのは翌朝となってしまいます。朝獲れカマスの鮮度を保って魚市場とは別のルートで鮮魚店や料理店に流通販売することによって,刺身で食べられる美味しさを味わえるようにすること,『高鮮度のお魚+流通販売ルート開拓=新しい価値創造』をセットにして現状改革を目指すのが伊王島日の出カマスです。

魚料理研究会の学生たちは,早朝から伊王島に集まり,大量の朝獲れカマスを3枚におろして,炙りの刺身を作りました。ステージ上のトークショーで日の出カマスの素晴らしさを伝えた上で,試食会を行い実際に新鮮な刺身を来場された方々に味わってもらいました。

試食会には長い行列ができて,『カマスを刺身で食べるのは初めて。美味しい!』といった感想もいただきました。次のステップとしては,日の出カマスを扱ってくれる鮮魚店や飲食店を見出して,各店舗へ魚を届ける流通ルートを作らなくてはなりません。今の水産業ではこの流通販売ルート開拓が最大のネックになっています。

まずは,定評のある料理店や鮮魚店で『日の出カマス』を使ってもらい,ブランド化する価値があるかどうか,そのお店で使ってもらえるかどうか見極めてもらっています。写真は,とても親切にご協力いただいている日本料理の『ほりた』さんに試作していただいた,『炙りカマスの棒鮨』です。次に,そういったお店にカマスを流通販売するための,ハブとなってもらえる販売業者さんを見出そうとしているところです。

 

自治体や生産者が単にブランドを名乗っただけで自然に売り上げが増えることはありません。買ってもらえるお客さんとそこへ届ける販路を見出し,作り出していくことが,ブランド化成功の秘訣であると思います。