水揚げ量日本一を誇る銚子の屋台骨

銚子沖洋上風力の現地聞き取り調査に行って来ました。1日目は洋上風力開発の経緯と進行状況に関するヒアリングです。市役所企画課と漁協と商工会の合同事業として銚子市オフショアウインドサービスC-COWSという株式会社が設立されており,役所,漁協,商工会の方々に多数お集まりいただきお話を伺うことができました。

銚子では50年ほど前に国策事業として計画された重要港湾整備,火力発電,フェリー航路を誘致できなかった歴史があることから,今回の洋上風力開発こそは銚子に持ってくるという意気込みを表す具体的な形としてC-COWSが結成されたそうです。銚子は元々風況が良く,日射量も多く陸上風車や太陽光パネルの設置が先行的に進んでおり,東電の洋上風力実験機を受け入れても大きな問題は生じなかったことから,地域の住民や漁業者さんから特段の反対なく有望な区域,促進区域へと進むことができたそうです。漁業振興策は,1)新漁場造成,2)組合員支援(保険料,共済費,燃油代補填),3)市場増築,4) 漁港整備(水揚げ船へのサービス向上)の4部構成で考えられていました。風車の建設場所として,漁場としてあまり使用されていない水深20m以浅の海域を探し出すことができたことから,風車基部の人工魚礁効果に加えて,追加魚礁投入,藻場造成などを行い,新しく沿岸操業を行える場所を作っていくプランが考えられ,具体的方法を探るための潜水調査が行われているところでした。

2日目は漁協の職員さんにお相手いただき,漁業に関する気聞き取り調査を行いました。銚子港は日本一の水揚げ量を誇っていますが,周辺に冷凍庫が豊富で,市場の仲買い業者に勢い(価格形成能力)があることが大量水揚げの背景にありました。しかし水揚げ量の95%は海外輸出で(中東,東南アジアへ仕向け;最近小さいサバも良い値段で売れるそうです),周辺の大手加工業者さんは輸入品加工(サーモンのフィレ加工やノルウェーサバの加工)が多く,地産地消的に水揚げ物が回っていないと知って驚きました。北前航路の頃から利根川を利用した物流拠点であり,東京という大消費地と多数の冷蔵・冷凍施設に支えられた市場を中心に成り立っている漁港が銚子であることが良くわかりました。