鹿児島の洋上風力勉強会

鹿児島県薩摩沖洋上風力関係者合同勉強会に招かれて『洋上風力発電と漁業の共存』について講演を行ってきました。一般にこの手の勉強会における漁業協調の講演では『風車の人工漁礁効果により魚が増えて漁業も栄える』とイイトコ取リのwin-win未来像が紹介されることが多いようです。しかし私は,1980年代以来右肩下がりの衰退を続け漁獲量が半減している日本の沿岸漁業が,人工魚礁効果でそう簡単に復活できるとは考えられません。だからといって風力開発を阻止すれば漁業の衰退が止まる訳でもありません。洋上風力開発の事業や基金をどのように活用してピンチをチャンスに変え地域と漁業を振興させるか,開発事業者や漁業者だけでなく,地域住民,地方行政,国が一体となって知恵と努力と情熱を注ぎ込んで20年後の望ましい未来像を描き,それを実現するための方策とロードマップを立案・実行する必要があります。

 

特に薩摩沖洋上風力開発は5つの市町村や多数の漁業協同組合が関係するため,地域の計画立案や合意形成を一つにまとめ上げるのは大変な苦労が伴うと予想されます。ただでさえ『洋上風力開発は事業の推進主体が誰であるのかはっきりしない。国に聞けば事業者だと言うし,事業者に聞けば県だと言うし,県に聞けば...』という話をあちこちで聞きます。特に薩摩沖では国の指導のもと県と市町村が強く連携して行く覚悟がなければ,地方振興・漁業協調を達成するのは難しそうです。私の講演がこうした体制整備に少しでも貢献できたならば幸いです。