山形県遊佐町の洋上風力開発に注目

山形県遊佐町沖洋上風力開発の聞き取り調査に行ってきました。ここは早くから広く住民や漁業関係者が集まって慎重に検討を重ねている地域として注目しています。

山形県遊佐沿岸検討部会のウェブページ
https://www.pref.yamagata.jp/050016/kurashi/kankyo/energy/kenkyuu/copy2.html

実際に県漁協,内水面漁協,枡川鮭漁業生産組合,遊佐町役場,県水産振興課の方々にお話を伺ったのですが,地域や漁業のために汗をかきながら人々に状況を知らせ,意見を聞き,対策をまとめるキーパーソンが各所にいらして,慎重かつ積極的な取り組みがなされている構造が大変勉強になりました。

 

例えば,法定協議会への出席者はオープンな場で選出し,組合長など代表権をもつ首長は選出しない(会議の場で了承する形を作らず,懸案事項は必ず持ち帰って検討するため),地域に持ち帰ったら自治体の方が噛み砕いて全員に説明した上で,意見を汲み上げ,判断をまとめる,というように,時間と手間と努力がかかるけれども民主的なプロセスが進められていました。


漁業に関して慎重な取り組みが行われる背景の一つにサケ孵化放流事業があるようです。放流するサケ稚魚の数に対して親魚が何尾回帰すれば利益が何円になるか平素から計算していることから,風車建設によって大型捕食性魚類が居ついて捕食死亡が増えたり,回遊ルートが変わったりして回帰率が下がると何円の経済損失になるかその数値が影響評価の論点として明確化されているのが印象的でした。


洋上風力開発が漁業に及ぼす影響を建設前,建設中,稼働後にわたって定量的にモニタリングし,費用対効果まで含めて評価することの大切さを改めて確認しました。