生産地と消費地の意識乖離

最近のネットニュースから「スーパー流通が漁業と魚食をダメにしている」という内容の記事を紹介します。

 

日本人の「魚離れ」を加速させた、大手スーパーの魚売り場の「重い責任」
安さと安定感を追求した結果
マネー現代 2021/12/05

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/89928?imp=0

 

『主流となったスーパーの店頭は、まちの魚屋さんとは正反対。規模にもよるが、まずスーパーの店員は店の裏に入ったまま「品出し」のとき以外は姿を現さない。ほとんどが無人である。ただ、魚の品揃えは充実しており、売り場はそれなりのレイアウトを保っている。』
『品揃えで最大の特徴は、いわゆる「4定」だ。4つの定は、一定価格、一定量、一定品質、一定規格。つまり、いつでも同じ魚を同じ値段で同じ量買えるという、安心感を消費者に持ってもらうため、店側が工夫して仕入れを行っている。』
『2000年以降はデフレ経済が進行し、低価格化競争が激化。魚の値段もご多分に漏れず、安さを追求する時代に突入した。今とは違ってサンマは豊漁。ウナギも流通量が豊富で、ワンコイン(500円)のうな丼店がまちに出現し、話題となった。』
『安さを追求するあまり、アジもマグロも決して「上もの」とは言えない魚が品ぞろえの大半となったことで、消費者にとってはそれがスタンダードになり、魚離れにつながってしまったのではないか、と小谷氏は感じている。』

 

ストーリーが少々単純すぎますが,スーパー仕入の『一定価格、一定量、一定品質、一定規格』が漁業現場にどれだけ負担をかけているか,魚を買うときにはこうした問題を意識して欲しいと思います。

魚を買う人食べる人に,漁業現場で何が起こっているか知ってもらいたい...という点でもう一つ気がかりなことがありました。今年の秋田県の漁業不振が顕著で,漁業者が国に補償を求めるニュースに対する,ネット上のコメントです。

 

「漁協はなんのために存在するんですか?不漁の時の補填など持続給付金やら漁協がやる仕事ではないのかな。大漁の年もあれば不漁の年もあるのはわかりきっている。その保険的な役割りをできない漁協は存在意味あるんですかね。」

「漁師はいいよね。自分たちが今まで我先に取りまくってきたツケが今来てるのに不漁だから補助金とか一般社会では考えられない。こんな事のために税金が使われてるとなるとがっかり。漁師は何も努力していない。」

 

確かに,漁協に改善すべき課題が山積しているのは事実です。しかし,ネットを通じて漁業への悪いイメージが拡散していくことに危機感を覚えます。漁業現場の実際の状況,流通市場からのプレッシャーと環境変動があいまって,豊漁でも不漁でも儲からない構造に陥っていおり,このままでは沿岸漁業がなくなってしまい兼ねない現実を広く知ってもらうことが重要であると私は思います。