洋上風発と漁業(シンポジウム)

水産海洋学会の研究発表大会を長崎大学とオンラインでハイブリッド開催し,オープニングイベントとして海洋再生可能エネルギーと漁業に関するシンポジウムを主催しました。

 

政府の2050脱炭素宣言を達成するためには,日本周辺に3000〜4000機の洋上風車が設置されることになりますが,それによって漁業活動がどの程度制約されるのか,漁礁効果で魚が沢山とれるようになると安易な楽観論に甘んじることなく,緩和措置や補償措置を巧みに組み合わせ漁業が続けられるようにする仕組みを地域一帯となって考えべきである,というのが私の講演の主旨です。長崎大学の中田先生,東邦大学の竹内先生,長崎大学の丸山先生の講演もあり,洋上風力発電が漁業や海洋環境に与える影響,建設に向けた利害関係者や住民の意見の引き出し方,地域のプロジェクトとして運営するために利害関係者を結びつけるキーマンが必要であること,などについて情報発信・協議することができました。

 

会場には約50名,ウェビナーには約250名と沢山の方々がご参加され,この問題への関心の高さが感じられました。洋上風力と漁業を共存させたいが,実際どうやったら良いのかわからない,と悩んでおられる方が少なくないようです。その答えはまだありませんが,閃光地区が最新の注意を払いながら事業を進め,開発と協議とモニタリングのプロセスと得られた情報をオープンにすることにより,後続事業にガイドラインを示すことが有用と思います。