上五島の暮らし

上五島町漁協でヒアリングさせていただきました。この漁協は市場を開設したり,福岡市への直送便を運営したり,箱入り娘という地域ブランドを売り物にしたり,五島の中でも精力的に活動されているところで,是非一度話を伺いたいと思っていました。実際にお話を伺ってみたところ,地域に地産の魚を流通させるために市場を運営しているが,経営的には赤字であり止められるものならやめたい,漁業者と漁獲量の減少とともに離島という運搬流通上のデメリットは拡大する一方で,地域ブランド化も克服するほどの効果はなく,やるべきことはやってきたけれど『万策尽きた』非常に厳しい状況であることがわかりました。漁協の参事さんたちは地元と漁業に対する思いとやる気があって,現在の漁業を支えられていることがヒシヒシと伝わってきましたが,離島の生産地と都会の消費地のギャップはそう簡単には埋まらないことも確認できました。

宿泊した民宿近くの神社で,夜に神楽をやっているのをたまたま見かけました。農業と漁業の収穫に感謝する地域のお祭りで,小中学生の子供たちとその親御さんたちが集まって,とても良い雰囲気でした。またAコープのスーパーには新鮮なカマスやアオリイカやキンメダイ,それに五島牛が手頃な値段で並んでいました。次の世代に向けて,漁業・農業に根ざしたこうした暮らしが無くならない仕組みを作っていかなければなりません。