直売所の個性

現代の日本漁業が抱える問題は,魚の獲り方(獲りすぎないようにすること)と同等以上に,獲った魚の売り方にも起因しています。そこで,直売所の聞き取り調査にトライしました。まず最初に西海市の3ヶ所の直売所でお話を伺いましたが,それぞれ開業目的や特徴が異なっていました。

最初に訪問した『よかところ』(http://www.yokatokoro.jp/)は,農家,特に女性の経済的自立を目的として30年前に開設された民間直売所の草分け的存在で,基本的に誰でも農産物・水産物を持ち込めることを特徴としています。経営者の方は,現在の農業,水産業が厳しい状況にあり直売所をあと何年続けられるかわからないと,大いなる危機感を抱いておられました。

次のJA長崎西彼グリーンセンター(https://life.ja-group.jp/farm/market/detail?id=1247)は農協が運営する直売所で,組合員である出荷者を公平に扱うことをモットーとされています。

三番目に訪れたふれあいの里清水(https://www.city.saikai.nagasaki.jp/kanko/theme/gourmet/1/4926.html)は一番小さい民間の直売所ですが,手作り豆腐や食肉販売にも力を入れ,より地域と密着しているようでした。実際に,私の研究室の調査にご協力いただいている大村湾のエビ漕ぎ(小型底曳き)漁業者さんは,もっぱらこの直売所に出荷されています。

それぞれに特色が異なる直売所でしたが,共通していたのは;

1)委託販売主体で,店頭に並ぶ商品の品揃えは出荷者さん次第であるため,計画的に販売しにくい。

2)水産物は直販所の中でも人気商品である。

3)水産物は特定の魚種が特定の時期に大量に集中したり全然獲れなかったりするので売りにくい。

といったことです。

人気商品だけど売りにくい水産物,その魅力を活かして販売を強化する方法を考えてみたいと思っています