鳥の調査に行ってきました

西海区水産研究所の東シナ海底魚資源調査に便乗させてもらって,2週間ほど鳥の目視調査を行ってきました。熊本県の実習船をチャーターして東シナ海南部で定点トロール採集を行い,底魚の資源量を推定して許容漁獲量算定の基礎情報を得るのが調査の主目的です。私は一日中アッパーブリッジで鳥の観察を行いました。東シナ海では今まで海鳥の調査がほとんど行われてこなかったので,どんな鳥が出現するのか,底曳き網船と海鳥にはどのような関係があるのか,まずはそういった基本について調べました。

目視をしてみると,海鳥は結構飛んでいるのですが,意外に種類数が少ないことがわかりました。調査を行なった沖合域にはカモメ類や潜水性の鳥がいなくて,オオミズナギドリ,アナドリ,カツオドリ類,アジサシ類,アカエリヒレアシシギなど表層で餌を獲る海鳥が主体をなしていました。

より特徴的だったのは陸鳥が非常に多いことです。アマサギ,ササゴイ,タシギ,バンのような水辺の鳥だけでなく,ツバメやキセキレイ,ムクドリ,ムシクイ類,シラコバト,ハヤブサ類などたくさんの種類の陸鳥が船周辺に飛来し,海鳥調査というより陸鳥調査という感じでした。渡り鳥にとって東シナ海は東南アジアと日本やロシアを結ぶ主要交通路(シルクロード)であり,船舶を旅の途中の休憩所(オアシス)として利用しているのかもしれません。