地域との連携

長崎市郊外の三重(畝刈)地区,新漁港周辺にある水産研究施設に行って来ました。まず訪れたのは県の水産試験場。県内各地の海と水産資源,漁業の状態が長期的にどのように変わっているか客観的に分析するために漁業の長期データを使えないか相談しました。県水試の方は国や県が推進する資源評価・漁業管理の一翼を担うとともに,現場の漁業者さんに実行してもらうための説明や意見交換を行われていて,行政と現場の間に立って苦労されているだけに,『その分析を行うことが漁業にとってどんなメリットがあるのか?』と最初は慎重な反応でしたが,色々と話をするうちにこちらの意図も汲み取ってもらえたようです。データに限らず解析手法や調査設計なども含めて,今後大学と水試が協力関係を深めるための最初の橋渡しができました。
次に行ったのは,水産研究・教育機構の西海区水産研究所。大学の東シナ海研究センターを挟んで,水試のすぐ隣にあります。ここでは大学院の先生をやってもらっている研究者の方々(というか,かつての同僚・研究仲間)と,学生への教育の機会を増やすための連携活性化について意見交換しました。学生の中には水産資源の管理や調査研究に関心を持っている人,水試・水研への就職を志す人が少なからずいるので,近くにある研究所で講義を聞いたり指導を受ける機会をもつのは双方にメリットがある筈です。こちらも好反応で(本来業務に支障が出ない範囲であれば)協力してもらえそうですので,うまく連携できる枠組みを整えようと思います。
最後は,研究所前の岸壁に着岸した調査船陽光丸を訪問しました。まだ私が20代だった頃,ベーリング海でオットセイと漂流ゴミの目視調査を行なった際に甲板員をしていた働き者のMさんと再会しました。Mさんもいまや船長,お互い歳をとったもので,昔話に花が咲きました。こうした長年の経験をフルに活かして,若い後進の育成に励んで行こうと思っています。