有明の海

学生実験用のエビを購入させてもらった島原の漁協を訪問して話を聞いてきました。以前の仕事ではオフィスに座っていても行政経由でデータが送られてきましたが,地方の大学に赴任したのでぜひ現場の海の状況を見て,漁業者さんの声を聞いて,地域の海と水産業の持続可能性のために役立ちたいと考えました。その最初の一歩が島原の有明海,私が子供の頃海に興味を持つようになったゆかりの地です。漁協の方のお話を端的にまとめると「昔に比べ全体的に魚が獲れなくなっているのに,魚の価格は実質的に下がっている。収入が十分ではなく若い後継者はいない。このままでは10年後に漁業者はいなくなる」という状況でした。日本各地が同じ状況に陥っているようです。大雨の後の干潮だったこともあり,海は赤く淀んでいて,私の子供の頃の記憶とは大いに異なっていました。研究者としては,昔話ではなく具体的なデータに立脚して変化を把握し,対策を考える必要があります。その手がかりとなる情報も得ることができたのは収穫でした。